三菱重工、福島原発で作業ロボットの実証試験が完了 今後は支援作業に従事

2014年2月20日 14:48

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三菱重工が東京電力の福島第一原子力発電所で実証試験を行っていた遠隔作業ロボット「MHI-MEISTeR」

三菱重工が東京電力の福島第一原子力発電所で実証試験を行っていた遠隔作業ロボット「MHI-MEISTeR」[写真拡大]

 三菱重工業は20日、遠隔作業ロボット「MHI-MEISTeR」(マイスター)が東京電力の福島第一原子力発電所に投入され、除染作業の実証試験とコンクリートコアサンプリング作業を完了したと発表した。

 同社によると、「MHI-MEISTeR」は、2本のロボットアームを駆使することで、災害や過酷事故の現場で保守・補修などの作業ができる高機能ロボット。今回、高い作業能力を確認することができたことから、今後、福島第一原子力発電所での除染やサンプリングをはじめとした支援作業に従事する計画という。

 「MHI-MEISTeR」は、1999年に発生した茨城県東海村の核燃料加工施設での臨界事故を受けて開発した災害対応ロボットを、同社が原子力施設で培ったメンテナンス技術を援用して改良した。耐放射線性能や遠隔操縦性を大きく向上させ、高線量域での各種作業に対応できるようにしたという。

 これまでの災害対応ロボットの多くは、カメラなどを利用した点検・監視などが主な役割だったのに対し、「MHI-MEISTeR」はロボットアーム先端のツールを交換することで、点検・監視だけでなく、除染作業やコンクリートのサンプリング作業を行ったり、通路を遮断する障害物を切断するなど、多様な作業ができるという。

 実証実験では、福島第一原子力発電所1号機に1月末から投入され、プラント内の放射能汚染物質を専用のノズルによる吸引除染や、ブラスト材(研削材)を噴射して汚染表面を薄く削り取るブラスト除染の作業実証を行った。

 また、1号機内の狭い通路での走行確認や、建屋内の汚染程度を調査することを目的としたコンクリートコアサンプリングも実施した。コンクリートコアサンプリングは、壁や床から70mm程度の深さのコンクリートサンプルを採取する作業で、専用に開発したドリルやハンド(挟み爪)をロボットアームに装着し遠隔操作で行ったという。

 今後、2号機でも、オペレーティングフロアの汚染度を調べるため、コンクリートコアサンプリングを実施する予定という。

 同社は今後も、さらに高機能な遠隔作業ロボットや各種先端ツールの開発を進め、福島第一原子力発電所などでの多様なニーズに対応していくとしている。

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