相場は底を打ったが、主役銘柄なく日替わり相場の様相=犬丸正寛の相場展望

2014年1月31日 16:45

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  アメリカ金融当局の量的金融緩和縮小で新興国が荒れ模様となって、日経平均は昨年11月14日以来の1万5000円台割れに沈んだ。とくに、日経平均はNYダウに対しほぼ0.94倍程度で推移していたが、この倍率が前週は一時、0.97倍まで上昇したことで週末にかけて日経平均の下げがNYダウに比べ大きくなった。

  そのNYダウは29日の1万5708ドルでほぼ下値を確認したとみられる。米当局は、1月に続いて2月も月額100億ドルの市場からの国債等買付規模を縮小を決めたが、裏を返せば、それだけ自国経済に自信があるということだろう。また、「いったん、縮小を決めた以上、やったりやらなかったりすると余計に混乱を招く。経済のバロメーターの失業率が改善しているので今後も量的緩和縮小は継続されるものとみられる。ブームに沸いた新興国も一旦は調整を受けて体制の強化を図るところに来ているのではないか」(中堅証券)との見方である。

  この意味では2月上旬に発表される米・雇用統計1月分の内容が大いに注目される。失業率がさらに改善するようなら3月も量的緩和縮小は継続されるものとみられる。

  問題は米国景気及び企業々績がどうなるかであるが、NYダウベースの1株利益で見るかぎり1040ドル前後で堅調に推移している。仮に、NYダウが上値のフシ1万7000ドル前後まで反発するなら、日経平均はNYダウに対しほ0.94~0.95倍で推移しているから日経平均の1万6150円程度が見込めるだろう。

  日経平均ベースの1株利益も第3四半期決算の好調を受けて1000円に乗せている。企業々績面からみても日経平均も1万5000円割れで下値に届き、むしろ割安感が台頭している。

  ただ、何がマーケットの柱か、という点になると難しい。日経平均に寄与度の高いファナック、ファーストリテイリングなどは昨年暮れに大きく買われ上値に対しては警戒感がある。また、年初から続いた出遅れ銘柄のカサ上げも目先は一巡している。このため、何を突破口とするかマーケットには手探り感が漂っている。万能細胞の登場でiPS関連銘柄を柱に据えたいところだが、既に、一昨年から昨年に大きく買われていることから二番煎じ的で単発相場で終る可能性もありそうだ。

  結局は9日(日)の都知事選挙の結果を待つ展開で、短期的には値ガサ株から中低位株まで目まぐるしく物色対象の変わる相場とみられる。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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