【アナリスト水田雅展の銘柄分析】Jトラストは失望売り一巡、積極的な業容拡大戦略を評価して出直り

2013年12月26日 16:07

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  Jトラスト <8508> (東2)の株価は、第2四半期累計(4月~9月)業績の減額修正に対する失望売りが一巡し、積極的な業容拡大戦略を評価する動きを強めて出直り展開だろう。

  事業者向け貸付、消費者向け貸付、クレジット・信販、信用保証、債権買取など金融サービス事業を主力として、不動産事業、アミューズメント事業、海外金融事業(消費者金融業、貯蓄銀行業)、その他事業(システム開発など)も展開している。

  M&Aや債権承継などの積極活用で業容を拡大し、国内金融分野では日本保証(12年3月ロプロが武富士の消費者金融事業を承継、12年9月ロプロと日本保証が合併)、KCカード(11年8月旧楽天KCを子会社化)、クレディア(12年7月子会社化)、不動産分野・アミューズメント分野ではアドアーズ <4712> (12年6月子会社化)などを傘下に置いている。

  海外金融分野では、韓国・親愛貯蓄銀行(12年10月貯蓄銀行認可・営業開始)が未来貯蓄銀行の一部資産・負債を承継し、13年1月に韓国・ソロモン貯蓄銀行から、13年6月に韓国・エイチケー貯蓄銀行から消費者信用貸付債権の一部を譲り受けた。

  13年5月にライツ・オファリングによって総額976億円の資金調達を実行し、事業基盤強化や業容拡大に向けた戦略を推進している。12月24日には、子会社のJトラスト・アジア(13年10月シンガポールに設立)を通じて、インドネシアのマヤパダ銀行の株式10%を取得して資本業務提携すると発表した。国内で確立したリテール・ファイナンスのビジネスモデルを東南アジアで事業展開する第一弾となる。

  今期(14年3月期)の連結業績見通しについては非開示としている。ライツ・オファリングによる調達資金で、金融事業を中心に債権買取やM&Aを予定しているが、タイミングや規模等に不確定要素があるためとしている。第2四半期累計(4月~9月)はグループ規模拡大に伴う販管費の増加、韓国・親愛貯蓄銀行での貸倒関連費用の増加などで減益だったが、アドアーズや韓国・親愛貯蓄銀行の連結なども寄与して増収だった。積極的な業容拡大戦略で中期的に収益拡大が期待される。

  なお12月12日に、投資有価証券売却益4億62百万円が発生して今期特別利益に計上すると発表した。また12月17日には、子会社クレディアに対して12年9月3日付で提起された訴訟に関して、12月16日付で東京地方裁判所より約54億円の支払いを命じる第一審判決の言い渡しがあったが、速やかに東京高等裁判所に対して控訴手続を行う予定と発表した。今期業績に与える影響は精査中としている。

  株価の動きを見ると、11月8日の第2四半期累計減額修正を嫌気して急落し、11月12日に1164円まで調整した。しかし切り返しの動きとなって足元では1400円~1500円近辺で推移している。12月26日の終値は前日の急伸に続いて6円高の1444円と買われ、失望売りは一巡したようだ。日足チャートで見ると25日移動平均線を回復し、週足チャートで見ると11月11日の急落で空けた窓を埋める動きだ。積極的な業容拡大戦略を評価する動きを強めて出直り展開だろう。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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