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特定秘密保護法、急ぐ理由を明確にすべき
第2次安倍内閣スタート時から日米同盟深化に加速がつき過ぎた[写真拡大]
第2次安倍内閣スタート時から日米同盟深化に加速がつき過ぎた。とりわけ安全保障分野は、これまで積み残しになっていた集団的自衛権の行使容認への動き、普天間飛行場の名護市辺野古への移転環境整備、自衛隊と米軍の共同訓練の強化、日本版NSCの設置、日米両国が収拾した安全保障情報に関するトップシークレット情報共有のための情報漏えい防止を担保する特定秘密保護法の制定などだ。
これらの動きは今年2月、安倍総理が訪米し、オバマ大統領との首脳会談において「集団的自衛権の行使について見直しを検討している」旨を伝えて以来、加速化し、これまでの一連の流れが安全保障上の日米一体化、日米同化への道をひた走っている。
武力を背景としない平和外交による安全保障政策を旨とし、平和憲法下で連綿と歴代政府が堅持し続けてきた『平和外交』の原則は、日米同盟強化の中で一歩方向を誤れば『戦後最大の危機』を安倍政権がもたらすことにもなりかねない。
政府・与党は「わが国を取り巻く安全保障環境は大きく変わっている」と強調。北朝鮮の核問題、尖閣諸島をめぐる中国との緊張関係の高まり、竹島をめぐる韓国とのギクシャクした関係など、隣国との関係悪化は不幸にして日米同盟強化の必要を後押しする材料になり、日米間の一層の緊密化がさらに近隣を刺激するものになっている。環境の悪循環を生んだ。
中国が東シナ海で防空識別圏を一方的に設定し、尖閣諸島が中国のものだとの環境づくりで、既成事実化を活発化している。防空識別圏に米国戦闘機(B-52爆撃機)が入ったことは中国をけん制し、日本を支援する米国の姿勢の表れだろう。米国自体にとっても東アジア戦略の中で必要な抗議行動であったと見られる。
日米同盟深化と日米間の信頼関係の絆の強さは、こうした動きからも推測できそうだ。
で、あるならば、米国に対して、日本政府は『特定秘密保護法の制定に向けた議論を深め、国民の懸念を払拭するための時間的余裕を持ち、与野党が国民の知る権利や報道機関に限らず、フリーのジャーナリストに対しても取材の自由と報道の自由を担保する法制、未来に歴史検証が可能なシステムづくりを構築する時間を』求めるべきだろう。
これだけ多くの課題や国民の理解を得られない中で、12月6日までの臨時国会で成立を図らなければならないという政府・与党の姿勢からは「米国に早期法制を求められているのか」と野党から批判が出ているのも不思議ではない。修正案に合意した日本維新の会でさえ、衆議院での採決には審議不十分として反対した。
政府は本当に急がなければならない理由を「国民に明確に説明すべきだ」。まさに、その内容こそ「特定秘密」なのかもしれないが。
特定秘密保護法が法制化できるまでの間についての法的担保については国会法や自衛隊法、国家公務員法など関係法の改正を図り、情報漏えいに対し、罰則を強化すれば良いのではないか。
「現行の特別管理秘密(非公開情報)の管理が各省ばらばらの基準だから」と森まさこ法案担当大臣は国会答弁するが、質問議員から「統一基準はあるじゃないか」と反論されると「基準はあっても、管理責任者のランクは省庁でばらばらだから」と継ぎはぎのような答弁で繕う。
民主主義の根幹に係わる法案だから、答弁は明確、かつ、大臣としての答弁に絶対的な責任を持って臨んでいただきたい。官僚に右往左往する答弁は絶対にやるべきでない。その意味からも、自らも熟考し、精通し、国民の不安を解消する法案に再修正し、次期、通常国会に提出し直すことを望みたい。
さきの衆議院本会議で生活の党の玉城デニー議員が反対討論の中で指摘した事案ひとつにも、その通りだと不安を共有し、数の力で法案を成立させることに懸念を共有する国民は多いだろう。
玉城議員は「沖縄返還時の密約問題を一例に、当事者である県民にその情報が公にされるどころか、密約が存在したことが証明された後も、政府はその存在を否定し続け、隠蔽してきた。行政による恣意的な秘密保全が国民の政治参加意識そのものを拒否するものであっては絶対ならない」とした。
また、「アメリカ合衆国の秘密保全法制は議会の特別委員会における審査や国立公文書館・情報保全監察局長による機密解除請求など、多くの秘密指定を適正化するための制度が設けられている。大統領令によって機密指定をする際にその指定を解除する日を特定しなければならないとされており、その期日が到来すれば自動的に機密指定が解除される」などをあげた。
こうした問題の指摘や対処策などを政府・与党はきっちり担保し、国民に示し、法制化を図るべきだ。国民の多くが望んでいる。(編集担当:森高龍二)
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