週刊ダイヤモンド今週号より~柏崎刈羽原発で安全審査容認、知事“豹変”の陰に銀行圧力

2013年10月21日 08:00

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記事提供元:フィスコ

*08:00JST 週刊ダイヤモンド今週号より~柏崎刈羽原発で安全審査容認、知事“豹変”の陰に銀行圧力
「結局、銀行の筋書き通り。カネの話ばかりで、エネルギー政策も何もあったものじゃない」——こう嘆くのは東京電力<9501>の若手社員。福島第1原子力発電所の汚染水問題は抜本的な解決の道が見えず、東電の経営問題はカネの論理ばかりが際立っています。

顕著だったのが、柏崎刈羽原発の安全審査申請です。9月末の廣瀬直己社長との会談から一転、泉田裕彦新潟県知事が容認に踏み切った背景には、東電による安全面での対応強化以外に、金融機関による770億円の融資借り換えが10月に迫っていたことがありました。

借り換えの前提となる今期の経常黒字には、柏崎刈羽原発の再稼働か電気料金値上げが必須。金融機関側は「(実際の再稼働ではなく)安全審査さえできれば借り換えには応じられる」と説明していたため、東電側は「再稼働前提ではなく、取りあえず安全かどうか確かめたい」という姿勢で、新潟県との水面下の交渉を進めていました。電気料金値上げを避けたい安倍政権の後押しもあったようです。

ただ、あくまで審査を申請しただけで、実際の再稼働時には再び知事の同意を得る必要があります。また、12月に三井住友銀行や日本政策投資銀行から受ける予定の3000億円の新規融資についても、交渉が難航しそうだといいます。

東電は12月の新規融資の後、来年1月には別の金融機関から資金を調達する計画もあるとか。ただ、小手先の延命策では限界が来ています。国民生活に直結する東電の事業、エネルギー政策の将来の姿を提示しない限り、ごまかしが続いていくことになると、ダイヤモンド誌では指摘しています。《NT》

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