NYの視点:短期的なドル先安感は存続か

2013年10月5日 07:05

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記事提供元:フィスコ


*07:05JST NYの視点:短期的なドル先安感は存続か

来週も米国の政府機関閉鎖、債務上限協議の行方を睨んだ展開が続く。

■来週のポイント

◎米国政府機関閉鎖・債務上限協議

予算協議や債務上限協議が難航し政府機関の閉鎖に追い込まれたことから、オバマ米大統領は来週予定していたアジア歴訪を中止。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議やブルネイで開催されるアジア関連のサミットも欠席する。オバマ米大統領は「債務上限問題で交渉はしない」との方針を崩していない一方、ジョン・ベイナー下院議長は「我々の目標は政府機関を閉鎖することではない、ただ大統領との交渉を望んでいるだけ」と延べ、協議は暗礁に乗り上げたままだ。共和党が練っているという、予算と債務上限問題を同時に解決する提案に注目が集まる。

◎米国金融政策

*FRB高官講演予定

10月8日:ピアナルト米クリーブランド連銀総裁、プロッサー米フィラデルフィア地区連銀総裁
9日:エバンス・シカゴ連銀総裁、米連邦準備制度理事会(FRB)は9月17-18日開催連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を公表
10日:ブラード・セントルイス連銀総裁、タルーロFRB理事
11日:パウエルFRB理事

政府機関の閉鎖が続く限り、来週も引き続き米労働統計局(BLS)、米商務省(BEA)、米農務省(USDA)は経済指標の発表を見送る。このため、中立派のピアナルト米クリーブランド連銀総裁(投票権なし)、プロッサー米フィラデルフィア地区連銀総裁(投票権なし)、ハト派で投票権を有するエバンス・シカゴ連銀総裁、やはり投票権を持つハト派ブラード・セントルイス連銀総裁やタルーロFRB理事に講演に注目が集まる。

しかし、最も注目材料となるのは米FRBが公表する9月17-18日開催分のFOMC議事録。この会合で、FRBは国債、MBS(住宅ローン担保証券)の購入策で各月850億ドル規模の現行ペースを維持することを決定した。この結果は、資産購入規模の縮小を織り込んでいた市場にとりサプライズとなった。FRBは声明の中で、経済指標が強弱まちまちで量的緩和第3弾(QE3)の縮小を正当化させるためには更に今後の景気動向を見極める必要があるとの方針を示した。会合後の記者会見で、バーナンキ米FRB議長は年内に縮小を開始し、失業率が7%まで低下すると見られている2014年半ばで終了するロードマップを繰り返したものの、基本は「景気・雇用の状況次第」で「カレンダーどおりにはいかない」と強調しハト派色を強めた。

7-9月期に入り金利の上昇を受けて住宅市場の回復ペースは失速。政府機関の閉鎖やオバマケア(医療保険改革法案)の施行で今後の労働市場が弱まる可能性も除外できない。また、政府機関の閉鎖が長引くと10-12月期だけでなく、2014年の景気回復を抑制することにもなる。こういった理由から、一部エコノミストの中ではQE縮小は2014年の1-3月期まで開始されないとの見方も浮上。短期的なドル先安感は存続する。《KO》

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