カラーハンティング展の「肌色メガネ」 藤原大×JINS×資生堂のトークセッション『サイエンス×デザイン 未来の美を創造する』

2013年9月20日 13:20

印刷

記事提供元:アパレルウェブ


 東京ミッドタウン内「21_21 DESIGN SIGHT」で、10月6日まで開催している「カラーハンティング展 色からはじめるデザイン」(主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団)の展示作品のひとつ「肌色メガネ」について、技術協力をした資生堂主催によるトークセッション『サイエンス×デザイン 未来の美を創造する~「肌色メガネ」をケースとして~』が、東京ミッドタウンにて行われた。

 同展は、色をハンティング(狩猟・採取、等々)するというデザインの方法論をベースに、企業や団体とのコラボレーション作品19点を展示。そのひとつである肌色メガネは、JINSを運営するジェイアイエヌと同展のディレクター藤原大氏とのプロジェクトに、資生堂の肌知見やメーキャップのアイデア・技術を融合した新プロダクトで、全126本を展示、実際に手に取って試着することもできる。

 トークセッションは、ISSEY MIYAKEの元クリエイティブディレクターで、同展ディレクター藤原大氏、ジェイアイエヌ アイウェア事業部 企画グループの赤羽民氏、資生堂 化粧品開発センター グループリーダー中村浩一氏、資生堂 ヘア・メーキャップアーティスト大久保紀子氏の4名が登壇。企画を、資生堂 経営企画部 市場情報室が行い、司会は同室マーケットインサイトGの石井美加氏が担当した。

 同プロジェクトは、河原の石がひとつとして同じものがないように、肌も一人一人異なるという視点から、最も肌を露出する顔、そして一番近い位置に身につけるメガネに注目。プロダクトとして定量化し、共有することで、肌の色をみんなで考えるひとつの実物例として提示した。また、メガネにメイクを施し、フェイススタイリングという概念も提案している。

 今回、各カテゴリーのプロが集まり実現した肌色メガネの制作過程を、「肌色の知見を共有する」、「肌色をハントする」、「メガネをデザインする」、「メガネにメイクする」の4部で構成し説明した。

-肌色の知見を共有-
 肌の色は、肌と光によって決定し、一般に透明感のある美しい肌というのは、肌に当たり反射した光「内部反射光」の拡散が大きく、その光を構成するプリズムのなかで赤い光が多い方がより綺麗に見える。またその光は夏と冬で性質が異なる。(中村氏)

-肌色をハントする-
 肌色の知見の共有をもとに、プロジェクトメンバーが実際に街へ足を運び、カラーハンティングを実践。東京では大雪となった成人式の日に理想の肌を持つ被験者に声を掛け、20歳のMOMOKAさんの肌色をカラーハンティングした。

-メガネをデザインする-
 肌の色は一年間で変化をし、また反射光も変化するところから、色と肌の関係に機能を見いだし、反射光を意図したデザインに取り組んだ。光の入射角を、夏は80度で冬が30度としたとき、今回はその中間値として50度の入射角を想定してデザインした。

-メガネにメイクする。-
 MOMOKAさんが肌色メガネを掛けたときに、ほお紅をつけて顔がパッと明るくなるのと同じ変化があったという、大久保氏は、以前からまぶたと眉毛の間にあるメガネのフレームが気になっていたという。そこで肌色メガネにメイクの技術である、ダブルシャドウ、ダブルラインのような効果を出すためラインを入れ、肌のメイクとなじむようハイライトとほお紅をわずかに加えた。

 こうして完成して肌色メガネについて、プロダクトとして、またテーマであるサイエンスとデザインについて各人がコメントした。

 「これまでは顔のパーツを意識したデザインをしており、肌を題材にしたのは初めて。異なる分野と交わることでここまで人の心を動かせるのかと感動した。反響も多く、将来販売できるのでは」赤羽氏

 「肌色は、1色でこれと現せるものではない難しい題材。メガネの表面が肌に近いつくりになっており、サイエンスとデザインで新しいものが生まれた」中村氏

 「自分にあったものを発見する楽しみがある、是非体験して欲しい。いつも見ている肌色に違う視点を入れることで、当たり前のものから全く新しいものが生まれるということを再発見した」大久保氏

 「自分にとっての価値があるもの、意義があるものが市場のニーズとしてあり、意義を伝え行動に移ってもらうことが必要。たくさんあるメガネの中から、自分にあったものを見つけた時、これは自分のためのものだという意義に変換する。肌色メガネは、普通のメガネの形やレンズサイエンスとは異なる満足感を得られる、ひとつのトリックのように思える」藤原氏

 また、藤原氏は肌色メガネを通してフェイススタイリングという概念を提案、「これまでプロのものだったスタイリングが日常生活に入り込んでいる。そこでは変化しにくいものに対し、簡単なことで変化させていく必要がある。人は目を見て話すし、メガネは顔に最も近いアイテム。メイクアップにメガネというものを加えることで、相手に自分の顔を伝える時代といえる」と語った。

21_21 DESIGN SIGHT企画展 藤原 大ディレクション
「カラーハンティング展 色からはじめるデザイン」

会期:2013年6月21日(金)~10月6日(日)
休館日:火曜日
開館時間:11:00~20:00(入場は19:30まで)
URL:http://www.2121designsight.jp/

※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。

関連記事