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JR東日本と消費者心理の隔たりが産んだ騒動
*15:15JST JR東日本と消費者心理の隔たりが産んだ騒動
JR東日本<9020>が、ICカード乗車券「Suica(スイカ)」の乗車履歴などの情報を利用者に無断で日立製作所<6501>に販売していた問題で、自らのデータを外部に提供してほしくないとする利用者が、8月29日現在で3万45件に上ることが分かった。
同社によると、販売していたデータは、約4300万枚発行しているスイカの履歴情報のうち、Suica定期券、My Suica(記名式)、Suicaカード(無記名)、モバイルSuicaすべての乗降履歴が対象。乗降駅(私鉄も含む首都圏約1800駅)、利用日時、運賃、利用者の生年月(日は除く)、性別、スイカ固有のID番号を他の形式に変換した識別番号で、氏名や電話番号、電子マネーとして利用した履歴は含まれておらず、個人を特定することはできないとしている。
利用者からの苦情を受けて日立製作所は提供データをいったん削除した。
JR東日本は、外部提供を希望しない利用者のデータを削除したうえで、9月25日以降に提供を再開する予定。
外部提供を希望しない利用者は、同日までにスイカ裏面のID番号とともに、電話か電子メールで申し出る必要がある。
日立製作所は6月27日、提供データをビッグデータ解析技術で活用し、駅エリアのマーケティング情報「駅利用状況分析リポート」として企業に提供するサービスを7月1日に始めると発表したが、JR東日本からは事前の説明がなく個人情報を無断で販売するとはと批判が相次いでいた。
JR東日本の広報部は、販売しているデータでは個人を特定できないので、個人情報に当たらず、個人情報ではないので事前に許可を取らなかったとしている。
JR東日本の駅に設置されているSuicaでの決済可能な飲料自動販売機では、すでにJR東日本はSuicaのデータを活用している。データを分析して、季節や利用者に合わせて品揃えを入れ替えられることで、消費者はより欲しい商品を購入しやすくなっているのだ。
今回の件も、これと同じで消費者にとってもメリットのあることなのだろうが、「データの販売」と聞くと消費者心理としてユーザーが不安に感じる可能性は否定出来ないのだから、個人情報保護法に定める「個人情報」ではなくても、個人を特定できないように十分配慮していても、事前の説明だけでもしていればこのような騒動にはならなかったのではないだろうか。《YU》
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