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【アナリスト水田雅展の為替&株式相場展望】重要イベント通過後の方向感を先取りする動きも台頭
来週(9月2日~6日)は重要イベント目白押しの9月相場に入るが、依然として米国の量的緩和縮小睨みであり、新たにシリア情勢緊迫化も加わって株式・為替相場ともに動き難い状況が続く。ただし9月前半の主要経済指標の発表を受けて、重要イベント通過後の方向感を先取りする動きも見られそうだ。
9月第1週は週初2日の米国市場が休場となり、4日~5日の日銀金融政策決定会合、5日のECB(欧州中央銀行)理事会、5日~6日のG20首脳会議、6日の米8月雇用統計、7日の20年夏季五輪開催地決定と重要イベントが続く。またG20首脳会議前に米国がシリアへの軍事行動を開始するとの観測もある。そして第2週以降も9日の日本4~6月期GDP改定値、17日~18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)と重要イベントが相次ぐ。
最大の焦点である米FRB(連邦準備制度理事会)の量的緩和縮小については、金利上昇に伴う米国景気の失速懸念、米国株の調整局面入り懸念、新興国からのマネー流出加速懸念などが警戒されている。しかし市場では量的緩和縮小をかなり織り込んだとして、米FOMCで縮小開始を正式決定すればアク抜けとの見方もある。
■米・量的緩和縮小は織り込みアク抜けも
したがって9月6日の米8月雇用統計で強い結果が出れば、9月からの縮小開始が濃厚との見方でアク抜けを先取りする動きも見られそうだ。米国金利が上昇して為替がドル高・円安方向に進めば日本株にとって支援材料となる。逆に米8月雇用統計が予想外に弱い結果であれば、縮小開始は12月以降に先送りとの見方が優勢になり、バーナンキ米FRB議長の後任人事問題や米連邦債務上限問題も絡んで一段と不透明感を強めそうだ。為替も膠着感を強めるだろう。
一方、日本の消費増税実施の最終判断問題については、14年4月から予定どおり実施との見方が優勢になりそうだ。有識者60人から意見を聞く集中点検会合(8月26日~30日)が終了し、事前に想定されたことだが、条件付きを含めて予定どおり実施との意見が会合出席者の大半を占めた。8月30日に発表された7月全国消費者物価指数、7月鉱工業生産、7月完全失業率、7月有効求人倍率も、概ね景気回復に向けた流れを確認する結果となった。
そして安倍晋三首相は30日、政労使が協調して景気回復に取り組むための各界代表者による会議設置を指示した。国民に「予定どおりの消費増税実施やむなし」と納得してもらうための環境づくりを進めていると言えそうだ。9日の日本4~6月期GDP改定値で想定どおりに強い結果が出れば、市場に安心感が広がる可能性もあるだろう。
■SQで荒れると好押し目買いに
もちろん全体としては様子見ムードが強いだけに、9月13日のメジャーSQ(特別清算指数)算出に向けた仕掛け的な動きで、日経平均株価が一時的に1万3000円台を割り込む場面もありそうだが、一方では日本の景気が回復基調として下値を待ち構えている投資家も多いだろう。
日本株は5月高値から値幅・日柄ともに調整十分であり、そろそろ売り枯れの状況との見方もある。動き難い状況であることは確かだが、仕込みの好機とも言えそうだ。訪日外国人の増加が追い風の観光関連、消費増税による景気腰折れを防ぐ財政政策関連、デフレ脱却に向けた国内の消費関連や不動産関連などに注目したい。
その他の注目スケジュールとしては、9月1日の中国8月製造業PMI(国家統計局)、2日の日本4~6月期法人企業統計、中国8月製造業PMI改定値(HSBC)、3日の日本7月毎月勤労統計、中国8月非製造業PMI(国家統計局)、豪中銀理事会、米7月建設支出、米8月ISM製造業景気指数、OECD世界経済見通し改定、4日の豪第2四半期GDP、中国8月サービス部門PMI(HSBC)、ユーロ圏第2四半期GDP改定値、米7月貿易収支、米8月自動車販売台数、米地区連銀経済報告、4日~5日の英中銀金融政策委員会、5日の米7月製造業新規受注、米8月ADP雇用報告、米8月ISM非製造業景気指数などがあるだろう。
その後は7日の豪総選挙、8日の中国8月貿易統計、9日の日本8月消費動向調査、日本8月景気ウォッチャー調査、中国8月PPI・CPI、10日の中国8月鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資、11日の日本7~9月期法人企業景気予測調査、12日の日本7月機械受注、米8月財政収支、22日のドイツ総選挙、10月3日~4日の日銀金融政策決定会合などが予定されている。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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