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本に載らない現場のノウハウ-中小企業の人事制度の作り方:第15回 給与制度に関する話(1)(1/2)
今回から、このコラムでは最後に残ったテーマで人事制度の柱の一つでもある「給与制度」について、検討する上での注意点や頭に入れておくと良いと思われる点を、私の経験なども交えて解説したいと思います。
■立場によって違う「給与額」と「モチベーション」の相関性の捉え方
人事制度の中で、特に「評価」と「給与」は密接につながっていることが多いものです。「評価制度」に基づいて評価して、その結果が「給与制度」と結びついて、毎月の給与やボーナスの金額を決めるのが一般的でしょう。
私がいろいろな会社で給与制度を議論する中で、人の立場によってずいぶん違いがあると感じることに、「給与額」と「モチベーション」の相関性の捉え方があります。
私の感覚では、経営者や上位の管理者など給与を払う側、金額を決める側の人たちは、この相関性が比較的高いと捉える傾向があり、逆に現場に近い人たちや一般社員クラスでは、必ずしも相関性が高いとは捉えていないという傾向です。「どうせ最後は金だろ!」なんておっしゃる社長さんは、今でも結構いらっしゃいますが、一方で「お金だけじゃない!」という社員さんがたくさんいます。
このあたり、実際にはもう少し複雑で、どちらの立場の人も総論では、“社員のやる気につなげるため”には「適正な金額で報いるべき」「メリハリをつけるべき」などと言いますが、では自分はそれで“やる気”が出るのかと問いかけると「必ずしもそうではない」と言います。もちろんお金は大事だし大きな要素の一つではあるのはみんなそうだろうけれども、自分個人はそれがすべてではないという言い方です。
これもあくまで私の感覚ですが、経営者や管理者(ビジネス的には成功者?)の方がお金に執着する度合いが高く、現場に近い人や一般社員(言ってしまえば普通の人?)の方が、お金だけじゃないという度合いが高いと感じます。
このあたりについては、支払う側ともらう側の感覚の違いが大きいように思います。経営者としては、人を雇用することは大変なことですし、給料についても相当な苦労の上で支払っているという意識があります。成果と対価が見合わないことは許せません。
一方もらう側からすれば、給料は自分が働いた結果、労働の対価ですから、当然の権利であると思っています。もらって当たり前の意識が強いということです。
給与制度というのは、こんな認識ギャップがある前提で考えなければなりません。
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