関連記事
株式市場、1ドル100円はお預け ミサイルは飛ばず最後はまぼろしのSQが出現
今週の振り返り 651円も上昇した週とは思えない紆余曲折[写真拡大]
今週の振り返り 651円も上昇した週とは思えない紆余曲折
前週5日のNYダウは40ドル安。週最大のイベント、3月の雇用統計の発表は失業率こそ0.1ポイント下がって7.6%になったものの、非農業部門雇用者数の増加が約8万8000人で9ヵ月ぶりに10万人を割り込んだ。2月よりも16万人少なく、アナリスト予測の中央値19万人より10万人も少ないためウォール街をネガティブサプライズの衝撃が走り、一時は170ドルを超える下げになった。それでも130ドル分リカバリーするところにNY市場の地合いの良さがうかがえ、これでQE3の「出口」が遠のいたという解釈もできる。ただ、雇用が不振なのが建設と小売で、現在のアメリカ経済のエンジンである住宅需要と個人消費が気になり、今週出る小売統計や来週出る住宅統計の数字が注目される。それでも8日朝方の為替レートはドル円が98円台後半、ユーロ円が128円台前半と前週末よりさらに円安が進行し、取引開始前に発表された国際収支は4ヵ月ぶりに6374億円の黒字に転換し、市場予測を超える改善をみせていた。
アメリカの雇用統計より為替レートのほうが影響大で、日経平均は248.97円高の13082.61円と、始値で13000円の大台に乗せて始まった。値がさ株の値がつくのを待たずに乗せるのは、海外からの円売りと「クロダ・リスペクト」の指数先物買いが重なって上昇圧力が相当強い証拠で、値がさ株に値がつけば一気に13200円台にタッチ。TOPIXも1100にタッチした。その後は為替が少し円高方向に戻って利益確定売りも入り日経平均はおおむね13100円台でもみあう展開。午前中に債券先物市場で東証がサーキットブレーカーを発動させたが、5日と正反対に急騰した局面なので為替にも株価にも悪影響はなし。午後2時、現状は57.3(前月比+4.1)ながら先行きは57.5(前月比-0.2)とやや不安視する3月の「景気ウォッチャー調査」の結果が出ても反応はクールで13130~13150円のレンジで推移し、前週のように荒れる局面はなかった。大引け前に少し上昇し日経平均終値は358.95円高の13192.59円で4日続伸。終値で13000円を超えたのは2008年8月以来4年8ヵ月ぶりだった。TOPIXは+35.50の1101.74と高値引けで1100台に乗せている。売買高は49億株、売買代金は3兆6401億株で、商いの盛況はなお続いた。
値上がり銘柄数が1530で東証1部全体の約9割を占め、年初来高値更新銘柄も438を数える全面高だったので東証33業種騰落率は全業種がプラス。その上位はその他金融、証券、不動産、海運、鉄鋼、銀行などで、下位は石油、鉱業、空運、精密機器、水産・農林、電気・ガスなどだった。
8日のNYダウは主要企業決算への期待で48ドル高。アメリカでも日本でも4月は業績相場入り。9日朝方の為替レートは、ドル円が99円台後半、ユーロ円が129円台後半で、ドル円は100円の大台乗せまであと一歩まで円安が進んだ。日経平均始値は116.54円高の13309.13円で、海外投資家の「クロダ・リスペクト」による日本買いは続く。しかし、上げ幅が130円を超えたかと思えばTOPIXともどもマイナス圏まで沈み、再び前日比100円を超える水準まで戻すなど前場は値動きが荒くなった。その要因として利益確定売り、為替が少し円高に振れたこと、シンガポール市場のシステムトラブルによる停止と並び、やはり朝鮮半島の地政学的リスクが挙げられていた。アップダウンは後場も続いてマイナスとプラスの間で何度も行ったり来たりし、終値は0.24円安の13192.35円と5日ぶりの反落になった。東証1部は値上がり銘柄658より値下がり銘柄959のほうが多かったがTOPIXは+0.30の1102.04で「NTねじれ現象」が発生。売買高は47億株、売買代金は3兆4779億円だった。なお、期待されたドル円の100円突破の瞬間は大引けまでに一度も訪れなかった。
業種別の騰落率でプラス上位は鉱業、石油・石炭、非鉄金属、金属製品、機械、電気機器、ガラスなど。マイナス下位は不動産、その他金融、銀行、倉庫、陸運、電力・ガス、ゴム製品などだった。
9日のNYダウは59ドル高で史上最高値を更新し、一時は100ドルを超える上昇で再び未体験ゾーンへ。10日朝方の為替レートはドル円が99円近辺、ユーロ円が129円台後半で、ユーロ円は一時130円にタッチしていたがドル円の100円タッチは東京市場に持ち越された。日経新聞が9日に実施した経営者緊急アンケートの結果によると、行き過ぎた円安は原材料の輸入価格の上昇などマイナスの影響が出るとの見方が多く、望ましいドル円の水準は現状の「95~100円」が最多。企業物価の購買力平価(PPP)もそのあたりで、タッチはしても100円台定着は微妙か。10日は「北朝鮮ミサイル発射のXデー」とされ、発射即下落覚悟の日経平均は15.04円安の13177.31円で始まったが、すぐに前日比プラスになり上げ幅を切り上げ、前場も後場も13200円台をキープし13300円台にもたびたびタッチする落ち着いた動きだった。結局、大引けまでにミサイル発射もドル円の100円タッチもなかったが日経平均終値は95.78円高の13288.13円。この日の特徴は+19.00の1121.04とTOPIXが大きく上昇して年初来高値を更新したことで、時価総額の大きい銀行、鉄鋼、自動車などの株価上昇がそれに貢献した。売買高は史上3位の52億株、売買代金3兆6526億円で、東京市場の商いは「ミサイル発射待ちの様子見ムード」に支配されてはいなかった。
東証1部の値上がり銘柄1067は値下がり銘柄560の1.9倍あり、業種別騰落率のマイナスは鉱業、情報・通信、その他金融、ゴム、倉庫、海運の6業種のみ。プラス上位は鉄鋼、石油・石炭、その他製品、電気・ガス、保険、銀行などだった。
10日のNYダウは128ドル高。議事録公表でFOMCでのQE3出口論議が明るみに出ても「それも景気がいい証拠」と都合よく解釈され株価が高騰。5日発表の雇用統計であぶり出されたアメリカ経済の不安要素はもう気にも留めないらしい。11日朝方の為替レートはドル円が99円台後半、ユーロ円が130円台前半と円安が進んでも、ドル円は「ガラスの天井」があり100円に乗りそうで乗らない。取引時間前に発表された2月の機械受注は前月比+7.5%で2ヵ月ぶり増加、3月のマネーストック(M2)は3.0%で前月から0.1ポイント拡大し、どちらも市場予測を上回った。日経平均は216.82円高の13444.95円の大幅高で始まり、翌日がマイナーSQ算出日なのでオプション取引の250円刻みの13500円が意識され、先物は一時それにタッチし現物も13496円まで上昇した。その後は13400円台の落ち着いた動きだったが、10時30分を過ぎて13400円を割り込む。それでも後場は上海や香港や台北などアジア市場の全面高を受けて13400円台を回復し、大引け間際に2008年7月以来の13500円にタッチ。さらに終値は高値引けで261.03円高の13549.16円に上昇した。TOPIXも高値引けで+26.25の1147.29になり4月3日から7日続伸。売買高は51億株、売買代金は3兆9802億円で、「クロダ・リスペクト」する海外投資家の日本株買いの勢いは止まらない。結局大引けまでドル円は100円にタッチせず、北朝鮮のミサイルは飛んでこなかった。韓国総合指数(KOSPI)も大幅上昇で3日続伸し、脅しに負けていない。
値上がり銘柄1125に対して値下がり銘柄は480と意外に多かったが、業種別騰落率のマイナスは石油・石炭、倉庫、建設の3業種のみ。プラス上位は証券、ゴム、保険、輸送用機器、電気・ガスなどだった。
11日のNYダウは62ドル高で4日続伸し史上最高値の未知の空間を進む。12日朝方の為替レートはユーロ円は130円台後半まで円安が進んでも、ドル円は100円寸前で何度も押し返されタッチすらできず99円台後半に張り付いたまま。「1ドル=100円」には為替オプションや仕組み債のトリガーなどが複雑にぶら下がっていてストップロスや償還になっては困る勢力が結構あるようで、この「ガラスの天井」は相当強固だ。
オプション取引と日経平均ミニ先物のマイナーSQ算出日である12日の日経平均は19.09円高の13568.25円で始まったが、すぐ下落し13500円を割り込む。それでも午前9時6分頃に出た推定SQ値は13608.19円と高い。その後は売り買いが交錯し13500円をはさんでもみあう展開だったが、TOPIXは堅調でときどきプラスに浮上。それでもやはり利益確定売りの金曜日で、前引けにかけてズルズル下落した。後場は逆に徐々に値を切り上げていくが13500円台にはあと一歩届かず終値は64.02円安の13485.14円で、終値ベースでは3勝2敗でも前週末比で651円高、5%上昇して今週の取引を終えた。TOPIXは+1.28の1148.57と「NTねじれ現象」が出現し8日続伸。前週末比+82で7.7%上昇し、今週の株式市場の陰の主役はTOPIXだった。売買高は45億株、売買代金は3兆6596億円で、3兆円超えは日銀の金融緩和策が発表された4日から7日続いている。
チャートは午前9時にSQ狙いの買いが集中して高くなり、後は下げる「寄り天パターン」で、SQ値はそれが出た時点の現値より100円以上も高かったため、日経平均が最後までそれに届かずに終わる「まぼろしのSQ」になった。それは下落に向かうサインとされている。なお、この日も大引けまでドル円は100円にタッチできず、北朝鮮のミサイルは発射されなかった。
値上がり銘柄は588で値下がり銘柄は1020。業種別騰落率の上位は電気・ガス、海運、不動産、保険、ゴム、パルプ・紙などで、下位はその他金融、その他製造、倉庫、陸運、食料品、機械などだった。
■関連記事
・【日経平均】64円安でもTOPIXは8日続伸
・【日経平均】大型株中心に買われ13500円台一気乗せ
・【日経平均】ミサイル発射待ちの様子見などせず95円高
・【日経平均】地政学的リスクを意識させられて24銭安
・【日経平均】358円高で4年8ヵ月ぶり13000円台
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク