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【日経平均】地政学的リスクを意識させられて24銭安
NYダウは主要企業決算への期待で48ドル高。アメリカでも日本でも4月は業績相場入り。9日朝方の為替レートは、ドル円が99円台後半、ユーロ円が129円台後半で、ドル円は100円の大台乗せまであと一歩まで円安が進んだ。日経平均始値は116.54円高の13309.13円で、海外投資家の「クロダ・リスペクト」による日本買いは続く。しかし、上げ幅が130円を超えたかと思えばTOPIXともどもマイナス圏まで沈み、再び前日比100円を超える水準まで戻すなど前場は値動きが荒くなった。その要因として利益確定売り、為替が少し円高に振れたこと、シンガポール市場のシステムトラブルによる停止と並び、やはり朝鮮半島の地政学的リスクが挙げられていた。アップダウンは後場も続いてマイナスとプラスの間で何度も行ったり来たりし、終値は0.24円安の13192.35円と5日ぶりの反落になった。東証1部は値上がり銘柄658より値下がり銘柄959のほうが多かったがTOPIXは+0.30の1102.04で「NTねじれ現象」が発生。売買高は47億株、売買代金は3兆4779億円だった。なお、期待されたドル円の100円突破の瞬間は大引けまでに一度も訪れなかった。
業種別の騰落率でプラス上位は鉱業、石油・石炭、非鉄金属、金属製品、機械、電気機器、ガラスなど。マイナス下位は不動産、その他金融、銀行、倉庫、陸運、電力・ガス、ゴム製品などだった。
ファーストリテイリング<9983>は午前11時すぎにわずかに浮上した以外ずっとマイナスで、下落幅がたびたび1000円を超えて日経平均の値動きを不安定にした。終値は1300円安。その代わりに日経平均を下支えしたのがファナック<6954>で、クレディスイス証券が投資判断を引き上げたこともあり410円の大幅高。ソフトバンク<9984>も55円高で貢献している。上海市場が5日ぶりに年初来安値水準から反発をみせ、香港市場も上昇したので、ファナックとともに中国関連銘柄に挙げられるコマツ<6301>は56円高、日立建機<6305>は26円高、日産<7201>は8円高になり、商社株の三菱商事<8058>は40円高、三井物産<8031>は34円高だった。
音楽配信事業参入という報道があったパナソニック<6752>はシティグループ証券が目標株価を引き上げて15円高になった。料理サイトのクックパッド<2193>は1株→2株の株式分割を発表して一時ストップ高の345円高で年初来高値更新。ハイテク系では140円高の京セラ<6971>、135円高のTDK<6762>、70円高のキヤノン<7751>、50円高のKDDI<9433>、31円高で年初来高値を更新した安川電機<6506>、260円高で年初来高値を更新した村田製作所<6981>、75円高のNTT<9432>あたりが買いを集め、新興市場ではバイオ関連銘柄が活発に売買されて株価を上げていた。日機装 は日経新聞朝刊のインタビュー記事で甲斐敏彦社長が「売上高を5年で4~5割増にする」とブチ上げて42円高で年初来高値を更新し、まさに「言った者勝ち」。
地政学的リスクが高まり日経新聞朝刊でも特集されて防衛関連銘柄が買いを集めた。戦車やヘリ、護衛艦、潜水艦、戦闘機、地対空ミサイルなど売上高の約9%が防衛省装備品という主力銘柄、三菱重工<7011>は35円高で年初来高値更新。防衛省に機関銃を納める住友重機械工業<6302>は26円高、ヘリを納める川崎重工<7012>は17円高。41円高で連日の年初来高値更新、値上がり率2位、売買高6位の石川製作所<6208>は機雷を納めてこの分野ですっかりおなじみだが、レンゴー<3941>などに納める段ボール箱の製造機械のほうの需要増で投資家の人気を集めるような「東アジアの平和」は、いつになれば訪れるのだろうか。
一方、この日の市場の荒い値動きに巻き込まれたのが30円安のトヨタ<7203>、15円安のホンダ<7267>、2円安のアイフル<8515>、80円安で値下がり率13位になったオリックス<8591>で、4銘柄とも前場で年初来高値を更新しながらマイナスで引けている。クレディセゾン<8253>は225円の大幅安で値下がり率ランキング3位になった。ソニー<6758>は27円安。メガバンクもみずほ<8411>が4円安、三菱UFJ<8306>が16円安、三井住友FG<8316>が65円安とさえなかった。
このところ上昇ピッチが早く絶好調だったが、この日は大手を先頭に全面安になったのが不動産関連銘柄で、三井不動産<8801>が145円安、三菱地所<8802>が170円安、住友不動産<8830>が160円安、東京建物<8804>が45円安、東急不動産<8815>が67円安。値下がり率ランキングでは2位に119円安のダイビル<8806>、4位に530円安の住友不動産販売<8870>、7位に60円安のテーオーシー<8841>が入り、東急不動産は14位、三菱地所は16位だった。不動産含み資産株も三菱倉庫<9301>が59円安、三越伊勢丹HD<3099>が57円安、高島屋<8233>が37円安になるなど、倉庫株、百貨店株とも不調だった。
この日の主役は三菱マテリアル<5711>。金地金、銅からシリコン、電子材料、超硬工具、自動車部品、セメントまで幅広いジャンルをカバーする素材メーカーで、日経新聞に2014年3月期の経常利益が14%増の800億円になる見通しという観測記事が出て16円高。直前に出たアメリカのアルミメーカー、アルコアの決算内容が最終利益59%増と好調で、同じ非鉄セクターで連想買いも入った模様。同業の銘柄も住友金属鉱山<5713>が51円高、DOWAHD<5714>が23円高で年初来高値更新、古河機械金属<5715>が4円高と株価を上げていた。非鉄金属は出遅れていただけに、この日は不動産とは逆に循環物色の手が伸びていたようだ。(編集担当:寺尾淳)
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