円安の影響で韓国企業が輸出減少・営業利益悪化に直面

2013年4月5日 22:48

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■円10% 下落の場合、輸出2.4%、営業利益1.1%p 減少

 円安の影響で、韓国の主要メーカーがすでに赤字構造に直面していることがわかった。

 3日、韓国の全国経済人連合会(全経連)が売上高上位600の大企業中、メーカーを対象にアンケート調査を行なった結果、円が10%下落した場合、回答企業の輸出額は2.4%、営業利益は1.1%p減少することがわかった。

 メーカー全体のウォン/円為替レートの損益分岐点は1185.2ウォンだが、先月の平均為替レートが1160.1ウォンだった。調査対象企業が今年度の事業計画作成時に予想していた今年のウォン・円為替レート基準が現水準(1160.1ウォン)より高い1266.9ウォンだったという点、日本政府の拡張的通貨政策で円の追加的な下落圧力が高いという点などを勘案すると、韓国メーカーの不安定な経営環境は今後も続く見通しだ。

 調査対象企業は政府に、円下落の勢いを鎮めるための積極的な対応策を整えるよう要求した。また、輸出金融・保証支援の拡大、マーケティングなど、輸出インフラの構築とともに、必要時の直接的な外国為替市場介入の拡大も要求した。

 ユ・ファンイク全経連産業本部長は、「ウォン・円為替レートの下落が続く場合、基準金利引下げなどの拡張的通貨政策を強化しなければならない」と指摘した。また、「円下落の対策が準備できない場合、我が国のメーカーは先端技術力と価格競争力を兼ね備えた日本に苦戦するだろう」と強調した。

 業種別では、自動車及び部品の損益分岐為替レートが1260.7ウォンと最も高い。続いて、纎維(1200.0ウォン)、鉄鋼(1198.3ウォン)、機械・電気機器(1195.8ウォン)、石油化学(1189.7ウォン)、電子・通信機器(1166.7ウォン)など、主に日本と熾烈な輸出競合関係にある業種の損益分岐為替レートが高い水準を示している。

 一方、パルプ・紙・家具(1158.3ウォン)、食品(1148.1ウォン)、非金属鉱物(1125.0ウォン)、造船(975.0ウォン)の損益分岐為替レートは相対的に低いことがわかった。

 また、ウォン・円為替レートが10%下落した場合、回答企業の輸出額は2.4%下落することがわかった。輸出額減少幅の大きい業種は非金属鉱物(3.8%)、電子・通信機器(3.7%)、機械・電気機器(2.9%)、石油化学(2.7%)などだ。

 韓国の電子業界関係者は、「円安の加速化でソニ-、パナソニックなど日本の家電メーカーの実績改善が見られ、世界市場支配の回復のために価格競争を主導している」と憂慮した。

 また、ウォン・円為替レート下落は採算性にも悪影響を及ぼすことがわかった。

 円が10%下落した場合、回答企業の営業利益は平均 1.1%p 下落することがわかった。円の下落による営業利益の下落幅が最大の業種は食品 (2.6%p)、電子・通信機器(1.5%p)、パルプ・紙。家具(1.4%p)、石油化学(1.2%p)などだ。

 ただ、造船業は日本と主力船種が異なり、日本からの一部の部品輸入単価が下落するため、営業利益むしろ1.3%p上昇することがわかった。自動車は日本と熾烈な競合関係にある業種にもかかわらず、営業利益減少幅がわずか0.6%pであることがわかった。これは、自動車業界が円安に対応して海外生産拡大、部品の現地調逹などで収益性の低下を最小限化させると見られるからだ。

 企業はウォン・円為替レート下落による経営実績の悪化を防ぐため、原価低減(28.6%)、為替ヘッジ商品の投資拡大(18.3%)、輸出単価調整(13.5%)などの自主対応を急いでいるが、これといった対応策がないという企業も4社中1社(26.2%)あった。

 企業はウォン・円為替レートの急激な下落を防ぐため、韓国政府に為替市場対策を整えるよう要求し、輸出関連金融・保証支援(37.7%)、外国為替市場介入(29.5%)、マーケティングなど、輸出インフラ構築(16.4%)の更なる拡大も要求した。(翻訳:中川)

※この記事は재경일보提供の記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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