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今、求められる若者と高齢者の雇用バランス
2013年1月の有効求人倍率が0.85倍と3カ月連続で改善、大学等(大学、短期大学、高等専門学校、専修学校)の就職内定率も81.9%で昨年同期比1.9ポイント増となるなど、回復の傾向が見られる雇用環境。[写真拡大]
2013年1月の有効求人倍率が0.85倍と3カ月連続で改善、大学等(大学、短期大学、高等専門学校、専修学校)の就職内定率も81.9%で昨年同期比1.9ポイント増となるなど、回復の傾向が見られる雇用環境。しかし、完全失業率は4.2%と依然として高い状況が続いている。
帝国データバンクが実施した雇用動向に関する企業の意識調査によると、2013年度の正社員採用は「増加する」と回答した企業が22.8%となり、前年比0.9ポイントの微増ではあるが4年連続で改善、反面「採用予定はない」と回答した企業は34.0%と微減している。業界別では、復興需要に加えて公共工事への期待が高まっている「建設」が最も高く、地域別では「東北」が最も高い。さらにリーマン・ショック以降、新卒採用に慎重になっていた企業で若手社員が減少しバランスが悪くなっていることなども要因となっており、景気回復による雇用状況の改善という積極的な採用増ではなく、現状への対処療法ともいえる消極的ものと言えるであろう。こうした中、2013年4月から高年齢者雇用安定法が改正され、希望者全員の継続雇用が義務づけられるなど高年齢者の雇用増への対応が求められている。
前出帝国データバンクの調査によると、改正高年齢者雇用安定法等への対応は、「60歳以降の従業員の賃金体系の見直し」が約6割に。次いで「60歳以降の従業員の労働条件(勤務日数・時間など)の見直し」となっており、60歳以降の従業員の待遇を見直すことで高年齢従業員の増加に対応する企業が多くなっている。一方で、「新卒者の採用抑制」は同11.3%、「中途採用者の採用抑制」も15.2%となっており、同法改正が回復傾向にある雇用動向に水を差す蓋然性が高まっている。
大手コンビニエンスストアチェーンが相次いで年収の引き上げを決定するなど、景気回復に向けた賃上げが広がっている。日本労働組合総連合会が発表した2013春季生活闘争の第1回回答集計結果によると、賃上げ額の平均は前年同時期を156円下回ったものの、前年比較できる組合に絞ると107円のプラスとなっている。また先日、群馬ヤクルト販売が、業務委託契約(一部パート契約)を締結しているヤクルトスタッフ(ヤクルトレディ)約700名について、順次正社員化すると発表するなど、非正規雇用からの正社員化へという動きも目立ちつつある。実体経済においては依然として回復が見られる状況にない以上、いずれも新規雇用を圧迫しうるものであろう。
賃上げや非正規社員の正社員化は生活の安定等に繋がり、目論見通りの景気回復が実現できれば、新規雇用の増加にも通じるであろう。しかし改正高年齢者雇用安定法はどうか。年金受給開始までの5年間を繕うためだけに、若年者の雇用が圧迫される。若年者は年金だけでなく、雇用の機会まで高齢者に搾取される状況にあるということである。回復傾向にある雇用状況を維持・拡大するためには、このあまりにもバランス感覚を欠いた高齢者雇用策を見直す必要があるであろう。(編集担当:井畑学)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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