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地熱発電、漸く普及の兆しか
日本が火山帯に位置する為、古くから注目されてきたにも関わらず、一向に普及を見せなかった地熱発電が、漸く徐々に動きを見せ始めたようである。
2月20日、JFEエンジニアリングが、鹿児島県指宿市で新日本科学グループ<2395>が計画する地熱発電事業における発電プラントの設計および建設を受注したと発表。定格1500kW級(年間発電量約900万kWh)の施設規模で計画され、蒸気と熱水の両方を利用して最大の発電量を得るためにバイナリー発電を採用するとのこと。今回の計画は、日本において1999年の八丈島地熱発電所以来のメガワット級新規地熱発電所となる。
バイナリー発電方式とは、地下から噴出する地熱流体(蒸気・熱水)の熱で低沸点媒体を蒸発させタービンを駆動する発電方式のこと。この方式では蒸気に加えて熱水も利用できるため、地熱流体の熱エネルギーを無駄なく高効率に発電することができる。また、発電に利用した蒸気・熱水は、熱交換を終えた後、すべて坑井を通じて地下に還元することができるため、空気中に蒸気や水滴等の排出がなく、地熱貯留層を保全でき、さらに、空冷式のため白煙や着氷が発生することがなく環境への影響が少ないシステムとなっている。
この他、19日には、国書刊行会グループのセイユウが申請していた北海道川上郡弟子屈町における温泉発電事業に許可が下り、今年9月より実証調査も兼ねた本格操業を開始する予定となっている。こちらは、発電後の温排水を2万~3万?のビニールハウスの温室用に使用、野菜栽培等の2次利用の計画をしており、雇用拡大等の地域との共生と自然エネルギー資源の最大活用を図るという。
太陽光や風力発電と異なり昼夜・天候に関わらず連続して発電できる安定電源である地熱。しかし、立地地区は公園や温泉などの施設が点在する地域と重なるため、なかなか普及に弾みがつかなかった。原発停止による電力不足で、一つの発電方法に頼ることのリスクを体感したにも関わらず、メガソーラー発電所ばかりが増加している一方で、地熱を利用した新規設備の再生エネルギー固定買取制度に認定されたのは、弟子屈町のもので漸く3件目だという。中小企業でも、有効な温泉井戸さえあれば容易に参入可能なだけに、今の流れを継続し、地熱発電がより拡大することを期待したい。(編集担当:井畑学)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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