【編集長の視点】2013年の相場展望

2013年1月3日 21:43

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■参議院選挙まで政治相場が続き日本再生の政策関連株を循環買い

  新年相場は、一段と「政治相場」の色合いが濃くなる展開が有力である。これは、安倍晋三首相が、野田佳彦前首相の解散総選挙表明直後に「無制限金融緩和」に言及して、急速な円安・株高を招来、この発言効果を大々的にアピールして12月16日投開票の衆議院選挙で民主党に圧勝、政権奪還を果たしたことからも明らかである。新首相は、これまでの歴代政治リーダーの「内閣支持率と株価には一喜一憂しない」とする建前とはまったく異なり、「内閣支持率と株価に大喜大憂」して政策実現のエンジンとして利用しようとする政策意図が読み取れるからだ。

  となれば、次の政治決戦となる7月の参議院選挙まで株安を回避し、株高を促し、これにより内閣支持率を高位安定させる政策誘導が続くはずである。組閣後に全閣僚に全力で取り組むことを指示した「経済再生」、「復興」、「危機管理」の3点のうち「経済再生」に大きな比重がかかることはまず間違いない。そのためには、緊急経済対策を含む大型補正予算編成から積極的な来年度予算につなげ、マインド的にデフレを脱却する下地つくりに切れ目なく政策プッシュを続けるはずだ。

  海外環境も、懸念されていた米国の「財政の崖」はようやく年明け早々に収束に向かったものの、世界経済のもう一つのエンジンである中国経済の先行きや欧州債務問題、さらに中国、韓国、北朝鮮との地政学的リスクなどは予断を許さず、ここでもそのたびごとに「危機管理」に政治的な対応力が試されることになる。

  ヤマ場は、いきなり1月21~22日開催の金融政策決定会合から訪れる。日銀が、インフレターゲットを導入してさらに追加緩和策を打ち出すのか、白川日銀総裁の後任人事を含めた相場イベントとなる。ここで一段の円安加速となれば、1月中旬からスタートする3月期決算会社の4~12月期(第3四半期、3Q)業績の発表で、主力輸出株中心に円安効果による業績見直し、上方修正の続出も予想される。

  昨年も、2月12日~14日の金融政策会合で追加緩和策が打ち出され、為替レートは、1ドル=77円台から83円台まで円高が修正され、折からの3月期決算会社の3Q業績は下方修正のオンパレードとなったが、悪材料出尽くしとして日経平均株価は、9000円台割れから1万225円まで急伸した。

  新年相場もこの再現が期待されることになり、昨年の下方修正続出と異なって上方修正の揃い踏みとなるとすれば、昨年3月高値を更新して越年した日経平均株は、2010年4月高値1万1408円に挑戦することなる。

  昨年は、3月高値後に欧州債務危機の拡大や円高進行で8295円まで大幅調整したが、今年はこの業績相場のあとを大型補正予算、来年度予算の政策効果でフォローして7月の参議院選挙に突入することになる。

  参議院選挙で衆議院と参議院の多数派が異なる「ねじれ国会」が解消されれば、秋には2014年4月の消費税増税に向けた閣議決定を迫られることになる。当然、消費税増税が本決まりとなれば、住宅、自動車などの駆け込み需要が発生、「政治相場」の第2段ロケットの発射が予想されることになる。

  新年相場は、前半高の「ひとこぶラクダ」となるか、調整を経て後半高も期待できる「ふたこぶラクダ」となるかは、7月の参議院選挙までの前半高の加速力と到達して株価水準次第となるだろう。

  相場テーマは、年間を通じて衆議院選挙で自民党のスローガンとなった「日本を取り戻す」日本再生となるはずだ。このうち経済再生は、安倍連立政権が「経済産業省主導内閣」と観測され、すでに原発再稼働を先取り電力株が底上げしてきたが、新年相場では、原発再稼動は、参議院選挙を前に微妙な問題も含むだけに政策サポートへの期待のし過ぎは禁物となる。

  それより基幹産業の家電産業の再生に力点が置かれる可能性がある。すでに年末年始休暇中の12月31日に経済産業省の電機業界向けの資産買い入れのための新法制定が伝えられており、これがシャープ <6753> (東1)を想定しているのか、ルネサスエレクトロニクス <6723> (東1)をターゲットとしているのか、大いに想像力をかき立てられた。経済産業省は、かつてエルピーダメモリの経営再建に関しては、結局は経営破たんし省内にインサイダー事件まで惹起してミソをつけただけに、ルネサスについてはそれだけ注力度も高まるはずだ。

  安倍連立内閣の国土交通大臣に10年間で100兆円の防災・減災ニューデュールをマニフェストとした連立相手の公明党の太田昭宏氏が就任したことも、新年相場のテーマ株を示唆することになる。大手ゼネコンで唯一、PER評価でもなお買い余地のある鹿島 <1812> (東1)や、いまや社会インフラ再生のシンボル株となっているショーボンドホールディングス <1414> (東1)が、年間を通じて活躍する展開が見込まれる(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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