【アナリストの眼】米国・財政の崖を巡る協議の進展次第、進展すれば一段高の可能性

2012年12月23日 16:21

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<相場展望>

  来週(12月25日~28日)の株式市場については、大勢として先高期待が強い状況に変化はないが、米国の「財政の崖」を巡る協議の進展次第の展開だろう。

  11月中旬以降の急ピッチの上昇で過熱感を強めているうえに、年末年始の6連休(12月29日~1月3日)を控えていることもあり、米国の「財政の崖」問題が協議決裂という見通しになれば、一旦は不透明感で利益確定売りが優勢になりそうだ。ただし協議合意の見通しになれば、先高期待で年末一段高の可能性があるだろう。

  国内では26日に安倍晋三新内閣が発足する予定だ。日銀に対して物価上昇率2%の目標設定を求め、日銀は19日~20日の金融政策決定会合の結果発表で「13年1月の次回会合で日銀が目指す中長期的な物価安定について検討する」と表明した。さらに大型補正予算の編成、日中・日韓関係修復に向けての特使派遣の方針なども示している。脱デフレ・日本経済再生に向けた政策を好感して株式市場の先高期待は強く、海外からの新規資金流入も続いている模様だ。米国の「財政の崖」問題を通過すれば、為替の円高修正トレンドが加速する可能性もあり、来期(13年度)の企業業績改善を睨んで強基調の展開を一段と鮮明にするだろう。

  米国の「財政の崖」問題に関しては、共和党ベイナー下院議長が目指していた「プランB」の採決断念によって急速に不透明感が強まる形となり、前週末21日の米国株式市場は大幅に調整した。ただし取引終了にかけては下落幅をやや縮小し、外国為替市場でもリスク回避の円買いが急速に強まったというわけではない。最終的には協議決裂という可能性もあり、タイムリミットに向けてのチキンレースが続き予断を許さない状況だが、一方では協議が決裂しても米国経済への影響は一時的・限定的という見方も広がり始めている模様だ。米国株式市場や外国為替市場で警戒感を強める大きな動きがなければ、国内要因優勢の日本株式市場への影響は限定的だろう。

  ユーロ圏に関しては、イタリアでモンティ首相が13年予算成立後に辞表を提出し、2月に総選挙が実施される模様となった。債務危機に対応した改革路線の是非が問われる選挙であり不透明要因となりそうだが、当面は警戒感を強める可能性は小さいだろう。

  中国に関しては景気底入れ感を一段と強めており、資源・素材・海運などの市況には好影響を与えるだろう。ただし新体制移行後の経済政策に関しては消化不良の状況が続き、尖閣諸島を巡る日中関係の問題や人件費高騰の影響などもあり、中国市場での日本企業の活動には懸念が残るだろう。安倍晋三新内閣の特使派遣などで日中関係修復の兆しが見られるかどうかも注目点だろう。

  その他の注目スケジュールとしては、12月26日の米10月S&Pケース・シラー住宅価格指数、27日の米11月新築一戸建て住宅販売、米12月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、28日の米11月住宅販売保留指数、米12月シカゴ地区購買部協会景気指数、31日の中国12月製造業PMI改定値(HSBC)などがあり、その後は1月1日の中国12月PMI(国家統計局)、3日の米12月ADP雇用報告、4日の米12月雇用統計、10日のECB理事会、21日~22日の日銀金融政策決定会合、29日~30日の米FOMC(連邦公開市場委員会)などが控えている(本紙・シニアアナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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