三菱重工、米航空機用エンジンメーカーP&Wの中小型ガスタービン事業部門を買収

2012年12月13日 19:39

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米P&Wの航空機エンジン転用型ガスタービン(写真:三菱重工業)

米P&Wの航空機エンジン転用型ガスタービン(写真:三菱重工業)[写真拡大]

 三菱重工業は13日、米国の航空機用エンジンメーカー、プラット・アンド・ホイットニー(Pratt & Whitney:P&W)の中小型ガスタービン事業ユニットであるプラット・アンド・ホイットニー・パワーシステムズ(Pratt & Whitney Power Systems:PWPS)を買収することで合意し、P&Wの親会社である米複合企業ユナイテッド・テクノロジーズと契約を締結したと発表した。

 PWPSは、航空機エンジン転用型ガスタービンを活用したエンジニアリング・組立・販売を主力に、ガスタービンのサービスやEPC(設計・調達・建設)なども手掛けている。従業員数は約430人。また、同社はイタリアの低温熱源発電用(ORC)タービンメーカーであるターボデン社(Turboden s.r.l.)も傘下に収めており、今回の買収に伴いターボデン社も三菱重工の系列に入る。

 PWPSの買収は、大容量の高効率機を中心にガスタービン事業を展開してきた三菱重工が、運用性に優れた航空機エンジン転用型の中小型ガスタービンにも事業領域を広げ、製品ラインアップを強化するのが狙い。

 PWPSの航空機エンジン転用型ガスタービンは、コンパクトな設計と起動時間の早さにより、主として非常用発電用として高い評価を受けており、これまで世界中に1,700台以上の納入実績を持っている。

 今後はさらに再生可能エネルギーのフレキシブルな補完電源として大きな伸張が見込めるほか、新興国の小型電源としても幅広い市場を期待できる。これまでは3万kWクラスの機種が主力であったが、現在6万kWクラスの新機種を開発中で、これによりシェアの大幅拡大を目論む。

 また、ターボデン社のORCタービン(沸点の低い有機媒体を用いたタービン)は、バイオマスや工場排熱さらには地熱などの低温熱源を用いて発電や温水供給できるシステムが特徴で、欧州を中心に世界20ヵ国向け300基超の販売実績を持つ。日本においても再生可能エネルギーの固定買取制度により、これまで利用されていなかった地熱やバイオマスなどの低温熱源を用いた発電事業が増加しており、市場拡大につながると期待される。

 三菱重工は、P&Wとは従来より、MRJ(Mitsubishi Regional Jet)に搭載する新型ジェットエンジンの共同開発などを通じて協力関係にあるが、PWPS買収後もガスタービン用エンジン部品の供給や新型機種の開発などで協調関係を継続し、航空機エンジン転用型ガスタービンの事業拡大をはかっていく。

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