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本に載らない現場のノウハウ-中小企業の人事制度の作り方:第8回 評価制度の検討(1)(1/3)
今回からは、「評価制度」についてです。人事処遇制度の中でも一番興味関心が高い部分である評価制度。主に中小企業において私が経験した事柄を中心に、検討していく上での留意点などを説明していきたいと思います。
■なぜ評価制度が必要なのか
評価制度は、社員の間での評価や関心も高い、人事処遇制度の中でも中心となる、一番重要な部分といえます。中小企業の場合は、「とりあえず評価制度だけを作りたい」という要望もよく聞きます。
その一方で、「まだ社員全員が見渡せる規模なので、制度を作るほどのことはない」とおっしゃる経営者の方もいらっしゃいます。
評価制度の位置づけというのは、スポーツでいえば「勝ち負けはどうやって決まるのか」「どうやったら得点になるのか」といったような、一番基本的なルールになります。多くの勝利、たくさんの得点を挙げた人が、より重要な役割を担うようになったり、より多くの給与を得たりということになります。
確かに、少人数(10名くらいまで)の企業で、お互いの役割も仕事ぶりもよく見えている関係で、評価も役割も給料も、経営者が一元的に判断して決めているような企業であれば、評価制度を導入するほどではないかもしれません。
ただ、そんな企業であっても、経営者個人の感覚か、社員の総意かはともかく、何らかの暗黙のルールや価値観があって、それに基づいて社員個々が何らかの評価をされ、その結果として役割が与えられ、給与が決められているはずです。100%機械的に決まるような体系でない限り、何らかの評価が行われ、その結果で社員の間に差がついてきます。
一般的に、「等級格付け、役割」と「給与」はつながっていますから、なぜ今の差がついたのか、どういう根拠なのかは、社員からすれば絶対に知りたい事柄です。この差を説明しようとしたときには、必ず評価結果を示す必要が出てきます。その人の役割に対して何が(評価項目)、どうだったのか(評価基準と結果)、なぜこの給料になったのか(評価反映度合)ということは必ず付いてくるものです。
もしもその都度「勝ち負けのルール」「得点のルール」が変わってしまったのでは、社員の立場からすれば、いったい何をどう行動すればよいのかがわからなくなってしまいます。得点を重ねようと一生懸命がんばっていたのに、「その得点は今年は認めません」なんて言われたら、やる気が出るわけないですし、どうせまた変わるんだろうと、得点を稼ぐ努力もやめてしまうかもしれません。
評価制度には、会社としての行動基準が反映されます。「信用第一」も「結果がすべて」も「あいさつが大事」も、すべてその会社の価値基準であり、これに基づいた行動が評価につながります。会社として重視している事柄や、取り組む方向性を示すことにもなります。
やはり、評価制度というのは、会社と社員の関係の中での基本的なルールとして、企業規模に関わらず、制度として示しておくことが望ましいと思います。
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