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シフト管理のコンピュータ化で人の都合が無視されている?
筆者の投稿記事を読んでいたら、私が生産性の話が大好きだということはご存じだと思います。生産性について考えることは私生活を上手にやりくりするのに役立ちますし、ビジネスを大きくする力にもなります。しかし、事業の成長と個人的充足感という観点からすれば、それだけに注意を払うのはよくないかもしれません。
■状況例1
2007年、米スーパーマーケットチェーンのウォルマートが時間ごとの来店客数の浮き沈みに合わせてシフトが組めるように従業員の一週間のスケジュールを変えたときは、大きなニュースになりました。来店客がピークに達するときに合わせて接客できる従業員の数を増やすのですから、その動きは確かに企業にとっては建設的な取り組みであるように見えました。
しかし、遅番や週末のシフトになった従業員や分散勤務さえすることになった人の多くは大きな損害を被ることになったのです。その人たちの生活時間は家族の時間とずれてしまい、コンピュータはその誤差を計算しようにもできなかったのです。
問: 数値の上では道理にかなっていても、従業員がその取り決めに納得できない場合、そのやり方は会社にとって生産的なのでしょうか。事業をさらに成功させるためにはどうやって従業員をやる気にさせればいいのでしょうか。
■状況例2
筆者が気づいた最近の事例の一つも、また、衣料品店における生産性を最大限高めるためのスケジューリングに関するものでした。この場合、もっとも繁盛する時間帯は販売数を反映させた成果報酬がもっともよい人たちに割り当てられました。
この特異な状況の中では、その従業員も彼女の顧客も不利益を被りました。このパート従業員はそれまで何年にもわたって固定客を作ってきました。彼女は客に特別の注意を払い、その人たちの趣味を覚え、購入を急がせることは決してしませんでした。固定客の数を増やそうとはしないながらも、顧客作りの基礎を固めていたのです。
けれどもパートでしたから、彼女の成果報酬はあったとしてもフルタイムの社員と同じにはなりませんでした。スケジュールがコンピュータで管理させるようになったとき、彼女の勤務時間は減り、会社の外で負っている責任と相いれない時間帯に移動させられました。
問: もし従業員の勤務時間を減らすなら、彼らの望むスケジュールにもどすためには成果報酬を増やすよう努力しなければならないことを話してください。けれども、どうやってそれが可能になるでしょうか。勤務時間について自分たちの意見を取り入れてもらえないために割り振られた時間に働くことができないのなら、入ることができるシフトは収入と同様にもっと少なくなります。そうすると、その従業員が会社に留まることは不可能になり、顧客との間に培ってきた信頼は失われてしまいます。
コンピュータが我々以上に素早く分析しよりたくさんのデータを計れることに疑いの余地はありません。しかし、生産性を評価する際に人的要素が入り込む余地はまだあるということに注意を向ける必要があるのです。
※この記事はKey Organization Systems提供の記事を財経新聞が日本向けに翻訳・編集したものです。
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