日本ガイシ、NAS電池火災事故の原因を解明 工場は操業を再開

2012年6月7日 18:04

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 日本ガイシは7日、昨年9月21日に三菱マテリアル筑波製作所(茨城県常総市)で発生した同社製の電力貯蔵用NAS(ナトリウム硫黄)電池の火災事故に関し、火災事故の原因と安全強化対策および工場の操業再開について発表した。

 日本ガイシは火災の原因について、「NAS電池システムを構成するモジュール電池40台のうち1台(単電池384本収納)に製造不良の単電池が1本あり、その単電池が破壊して高温の溶融物が流出した」ことによるものだと説明している。

 溶融物がモジュール電池内のブロック間にある砂層を越えて流出し、隣接するブロックにある単電池との間で短絡(ショート)が発生。短絡した単電池間にヒューズが設置されていなかったため、短絡電流が継続的に流れて発熱したことで多数の単電池が破壊して火災が発生し、当該モジュール電池全体に延焼拡大したという。当該モジュール電池1台の燃焼により、火炎と高温の溶融物が上段と下段に設置されていた他のモジュール電池内の単電池容器を溶解させ、さらに延焼拡大したとしている。

 今回の火災事故を受け、日本ガイシはモジュール電池の延焼防止対策など安全強化対策を実施し、再発防止に努めていく方針を表明。なお、同社では火災事故発生以降、NAS電池工場(愛知県小牧市)の操業を中断していたが、原因の究明と安全強化対策の確立を受けて今月から操業を再開するという。当面は既設のNAS電池を継続して使用する顧客の電池を工場に引き取り、改造することを優先し、新規生産については今年度下期の開始を予定しているという。

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