白川総裁、日本経済の最大課題は「おカネを有効に使っていない事にある」と発言

2012年2月21日 10:47

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■「霞ヶ関発・兜町着」直行便

  日銀は14日に金融政策決定会合を開催し、デフレからの脱却と物価安定のもとでの持続的な成長の実現に向けて、金融緩和を一段と強化するため、3つの措置を決定した。

  それは第1に「中長期的な物価安定の目途」という数値表現を採用したこと、第2に「消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで強力に金融緩和を推進していく」という方針を示したこと、そして、第3に「長期国債の買入れを10兆円程度増額し、基金の規模を55兆円程度から65兆円程度に拡大すること」だった。

  この歴史的ともいえる金融緩和措置について、白川総裁は17日、日本記者クラブで「デフレ脱却に向けた日銀の取り組み」と題して、次のような背景説明を行なった。ポイントと思われる発言をいくつか紹介したい。

  1.日本経済の問題は、おカネの量が足りないということではなく、むしろ、おカネを有効に使うビジネスチャンスや成長機会が乏しくなっているということにある。

  2.結局、デフレとは一般物価水準の下落で、その背後にあるマクロ経済全体としての需給バランスが崩れていること、つまり供給に対して需要が不足していることが原因となっているはず。実際、2000年以降ごく一時的な期間を除き、恒常的に需要不足の状態が続いている。

  3.経済活動と物価の関係は、人間の基礎体力と体温の関係に喩えることができる。体温を正常な状態に上げるためには、基礎体力を上げる必要がある。これと同様に、物価を適度に上げるためには、日本経済の成長力、成長期待を強化することが不可欠であり、それなしにデフレ問題の解決はできない。

  4.では、経済成長率を高めるにはどうしたらよいのか。まず、就業者数を直ちに増やすことは難しいが、高齢者や女性が働きやすい環境を整えることにより、減少テンポを和らげることは可能だ。そのうえでやはり鍵となるのは、生産性の上昇率を引き上げる努力で、そのためには、まず、グローバル需要の取り込みと、多様化する国内需要の掘り起こしのための企業努力が必要となる。また、そうした企業努力を資金面から支えるうえで、金融機関の目利き力やリスクマネーの供給力も大事だ。

  5.成長力強化という点で中央銀行がなしうる最大の貢献は、緩和的な金融環境を維持し、金融面から企業が新分野にチャレンジしやすい環境を整えることだ。成長力強化のために、魔法の杖があるわけではない。グローバリゼーションや人口高齢化というわが国経済を取り巻く環境変化を直視して、民間企業、金融機関、そして政府、日本銀行がそれぞれの役割に即して取り組みを続けていくことが重要で、デフレからの脱却も、成長力強化の努力とそれに対する金融面からの後押しを通じて達成されるものと考える。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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