震災関連の倒産66社、「消費自粛のあおり」が3割=帝国データバンク

2011年5月6日 16:24

印刷

倒産パターンの内訳を示すグラフ(出展:帝国データバンク「東日本大震災関連倒産」の動向調査)

倒産パターンの内訳を示すグラフ(出展:帝国データバンク「東日本大震災関連倒産」の動向調査)[写真拡大]

 帝国データバンクは6日、東日本大震災による企業倒産が4月30日時点で66社、負債総額371億300万円になったと発表した。同社によると、95年の阪神大震災時は震災後約1カ月半で22社の倒産が判明したが、その3倍にあたる。内訳では、「消費自粛のあおり」や「得意先被災等による売上減少」など間接的な被害による倒産が全体の9割以上を占めた。

■全国で倒産が発生
 都道府県別では、社数ベースで最も多いのが北海道と東京都の7社でそれぞれ全体の10.6%、続いて群馬県の6 社(9.1%)、福島県の5 社(7.6%)だったが、全国各地で倒産が発生している。被災地となった岩手、宮城、福島の3県の倒産はあまり判明していないが、これについて帝国データバンクは、「震災の被害が甚大で被災企業の実態把握が困難」「実質倒産状態の企業は多数あることが推測されるが、経営者は日々の生活に追われ、資金的な問題等から倒産手続きの準備すらできない企業も少なくないとみられる」と分析している。

■「間接被害型」の倒産が全体の9割
 倒産パターン別では、会社建物や工場設備などに甚大な被害を受けたことによる「直接被害型」の倒産は6 社(9.1%)の判明にとどまった。一方、自社の得意先や仕入先が被災した影響などによる「間接被害型」の倒産は60 社(90.9%)で、全体の9割を超えた。

 「間接被害型」の倒産60社の内訳では、「消費自粛のあおり」が20社(30.3%)で最も多く、消費手控えや自粛マインドの高まりを受けた倒産が目立っている。2番目以降は、「得意先被災等による売上減少」(16 社、24.2%)、「仕入先被災等による調達難」(11 社、16.7%)、「親会社に連鎖」(7 社、10.6%)などの原因だった。

■以前からの業績悪化に震災が最後のダメージ
 今回の震災が倒産企業に与えた影響度を分類すると、震災による直接的な被害が倒産の引き金となった「影響度 大」のケースは6社(9.1%)にとどまった。一方、以前から業績悪化が続くなかで震災による間接的な被害が倒産の引き金となった「影響度 小」のケースが48社(72.7%)と、全体の7割超を占めた。震災発生前からの業績低迷に自粛ムードの高まりや取引先の被災などが追い討ちをかけ、倒産に至った企業が大半を占めたことになる。

■業種別では「旅館・ホテル」が最多
 業種別では、「旅館・ホテル」(8 社、12.1%)が最も多かった。震災後の全国的な自粛マインドの高まりや、未だに収束しない福島原発の問題などを受け、国内外の観光客の予約キャンセルが相次ぎ、先行き見通しが立たずに間接的影響で倒産に追い込まれたケースが大半を占めたという。その他、2社以上の倒産があった業種は、食品製造・販売(7 社、10.6%)、機械・金属製造(6社、9.1%)、「広告・イベント」(5 社、7.6%)、「外食」(4 社、6.1%)、「旅行」(2社、3.0%)だった。

■倒産件数は今後も増加の見通し
 4月30日時点で判明した倒産企業は間接的な被害を受けたケースが9割以上だったが、震災による被害が大きかった岩手、宮城、福島での実態把握が進むにつれて関連倒産件数がさらに増加するのは確実な見通し。帝国データバンクは、震災後3年間で関連倒産が394社(負債総額1126 億円)となった阪神大震災時を早期に上回る可能性が高いとしている。

 また、今後はサプライチェーン寸断の影響で全国にある自動車関連の下請部品メーカーのほか、自粛のあおりでゴールデンウイークの集客ができなかったレジャー・観光関連業者の倒産増が懸念されるとしている。

関連記事