英語を公用語にする企業を増やそう

2011年2月15日 17:46

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■英語公用化に対する反応
 
 ユニクロ、楽天が英語を公用語にすることがニュースになってから久しい。内需には頼れない、生き残るためには国内市場だけでは難しい。高齢化、中国、インド等新興国の伸長等いろいろ理由があるようだ。
 
 「そんなこと言ったって、俺は国内営業担当だ」「うちの会社は殆どが県内相手の商売で」と、企業規模の大小や、所在地によっていろいろな反応があることかと思う。場合によっては海外との接点がある部門でも、定型的な書類に使われる英語だけ知っていればよいという風潮が普通だ。
 
 わざわざ英語公用化という言葉があるのが残念だ。そもそも「英語」をそれほど構えて捉えること自体が日本の特殊性のような気がしてならない。私は、今後の日本の競争力を考えると、英語を公用語とする企業がどんどん増えていくことが望ましいと思う。その理由を説明してみたい。
 

■英語はかっこいい?
 
 日本では英語が話せるだけで「かっこいい」「すごい」と思われる国だ。「恥」に象徴される文化の中で、日本に登場する英語の使い手は「すごい」人たちが多い。
 
 ブームになった白洲次郎は、自分の英語を褒めたアメリカ人将校に対して皮肉をこめて「あなたの英語(アメリカでなくイギリスの言葉、を意図して)もなかなか御上手です」と言ったとか。
 
 こんな話も含めて日本人に「あの人の英語は上手い」とか、なんだか英語レベル格付けをしがちな雰囲気がある。自分の国では全くもてないのに、日本で英語講師をして突然「モテ期」を迎える外国人英語講師がなんと多いことか。とにかく、英語をペラペラしゃべることが「かっこいい」のだから、中身は問題外ということか。
 
 おいおい、ちょっと待ってよ。英語の上手さなんてのを比べてる場合じゃないんだってば。
 

■世界におけるビジネス英語
 
 Your people is very helping my people. We happy.
 I dinner next week Singapore. Thank you – you come dinner, we invite.
 
 この3つは最近筆者が話したり、メールを交換した時に実際に使われた内容だ。文法的には全くの滅茶苦茶。ただ、会話の中でこうした表現がでてきても、「ビジネスには全く影響が無い」のである。
 
 とにかく日本人は英語としてのレベルにこだわる。
 
 いやいや、ちょっと待ってよ。
 
 実際に私が接している、「英語を母国語としない」しかし、「仕事ができる」ビジネスマンの英語を、なんとか日本語のレベルに翻訳してみよう。
 
 「あなたの言うこと、私賛成。でも、ちょっと変えてほしい。値段下げること。分かる?なぜか?もっとたくさん売れる。あたな、もっと儲かる。私たくさんオーダーする。私も儲かる。OK?」
 
 こうした市場英語のレベルでも目的をちゃんと達成できる。それは「イイタイコト」がはっきりしているからだ。
 

■イイタイコトが大事
 
 日本語でも英語でも何語でも、ビジネスをする以上、一番大事なのは「イイタイコト」だ。何を目的にしているのか、自分が伝えたいこと、説得したいことはなにか、が先ず先にくるべき。
 
 私はシンガポールや、上海、韓国、マレーシアに出張することが多い。彼らの英語は、「英語」としては、正直破綻している。でも、イイタイコトははっきりしている。
 
 白洲次郎張りの英語を話しても、中身が無い人は全く相手にされない。その代わり、「ワタシ、アナタ、トモダチ」のレベルの英語レベルでも、「イイタイコト」がはっきりしていて、話し方=人間的に、魅力がある人の廻りには圧倒的に人が集まる。
 
 見本市や展示会の後のレセプション(パーティー)でも、営業交渉の場面でも、トレーニングやワークショップでも、評価される人は「イイタイコト」が明確で、意味があり、影響力を持てる人だ。英語のレベルは、通じさえずれば全く問題にならない。
 

■日本だからこそ必要な英語公用化
 
 日本人には「恥」の文化がある。下手な英語を仲間内で話し続けることは「恥ずかしい」とか、日本語で話せばいいことを英語で話すのは「カッコつけてる」とかの社会的な評価があるのは分かる。他人の目を気にしてしまうのは日本人の特徴だ。この文化を社会からなくすことはなかなか難しいだろう。
 
 だからこそ、私たちビジネスマンが多くの時間を使う会社で英語公用化をすることが大事だと思う。道具としての英語を磨くには、場数を増やすことが必要だ。
 
 会社における英語公用化は日本人独特の「恥」の文化や、「他人の目」を気にすることよりは「規則だから仕方ない」という言い訳により、「下手な英語でも使わないといけない」という状況を生み出すことにつながるのだからと。
 
 英語公用化を進める際、「英語の上手さ、英語レベル」を評価するのではなく、道具としての英語を使って「イイタイコト」を伝えることが大事なのだ。こうしたコミュニケーションを明確にする必要があるだろう。
 
 そうでないと、会社全体を挙げて英語公用化をしながら、評価されるのは「イイタイコト」の無い、単なる通訳ばかりとなってしまう。それでは本末転倒だ。

著者プロフィール

太田 信之

太田 信之(おおた・のぶゆき) バレオコンマネジメントコンサルティング パートナー / アジアパシフィック代表

グローバルコンサルティング会社”バレオコン”のアジア圏責任者として、日本・アジア各国での戦略実行に関わるコンサルティングを提供しています。
プロジェクトを立上げ、従業員の皆さんを活性化し実行力を付けながら事業上の成果を出すための方法論とコーチングを提供。新商品・サービス企画から導入、現地法人と日本本社の海外事業部門との間の課題解決など、測定可能な目標の構築、達成、実現をお客様と共に目指します。
JMAM人材教育にて「組織の壁を破る!CFT活動のすすめ」等を連載。グロービスマネジメントレビュー「実行する組織のマネジメント」(共著)
会社URL http://www.valeoconjapan.jp
ツイッターアカウント @NobuyukiOta

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