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首相不在、無視の「予算編成」。大臣、副大臣も財務官僚の言いなり
菅内閣は先週、矢継ぎ早に重要政策の閣議決定を行った。15日、「雇用戦略基本方針2011」、16日、「税制改正大綱」、「予算編成の基本方針」そして17日に、「中期防衛力整備計画」、「防衛計画大綱」である。[写真拡大]
【「霞ヶ関発・兜町着」直行便】
菅内閣は先週、矢継ぎ早に重要政策の閣議決定を行った。15日、「雇用戦略基本方針2011」、16日、「税制改正大綱」、「予算編成の基本方針」そして17日に、「中期防衛力整備計画」、「防衛計画大綱」である。15日から18日にかけて首相は硫黄島での遺骨収集と沖縄訪問を行っており、その過密なスケジュールを縫っての閣議決定に、与党民主党の中からも、「どれだけ菅首相自信が関わったのか、リーダーシップをどう発揮したのか」との疑問の声が聞こえてくる。これらの重要決定の中味を読んで見て気づくことは、数字と時期が明記されていないことである。理念と考え方のオンパレードである。年内の予算編成を至上命題にした急ごしらえの作文と断じていい。民主党政権は政策決定の「公開性」「透明性」「国民参加」を標榜したが、公開したのはヒヤリングの部分だけで、誰がどのように決定したかは結局、分からずじまい。国民参加も形だけで、各省庁が外郭団体等を動員しての「組織票」に過ぎなかった。
これらの一連の作業の中で、リーダーシップを発揮したのは、やはり財務省だった。といって野田財務大臣ら政務三役が政治主導を行ったわけではないが、官僚らに「洗脳」されたと思われる予算編成に対する財務省の「本音」が、つい、記者会見で露呈してしまった。まずは野田大臣。記者から「特別枠の配分については総理が判断するというふうになっていたと思いますが、どの段階で総理が決断を下したのか、法人税5%引き下げのように評価会議の評価以上に総理がこういうふうにやってくれと何か覆しただとか、総理が個人的に判断を出したものがあったのか」と聞かれ、こう答えた。
ご説明に行きました、特別枠の配分基準について。その過程の中で総理のご了解をいただいて、そして各省に発出したということであります。一応全部お目通しはいただいております。評価については、中身を全体としてご理解いただいて、まず予算編成を急がなければなりませんから配分についてはお伝えをしました。ご了解いただきました。さらに多分個別の精査をさらに総理、されている可能性はあると思います。私としてはそれを発出した後でも、何か総理のご指示があれば対応したいというふうには思います。(さらに「今後変更の可能性は、まだ余地があるのか」聞かれ)、総理枠という意味では総理から何らかの、ただその額にもよりますけれども、一定の範囲であれば総理からの何らかのご指示があればそれは当然、それは最優先だと思います。それが今回のルールだったと思っています。
財務省に完全に『取り込まれた』大臣としてリーダーシップを発揮できないでいる野田大臣。蓮舫・行政刷新担当大臣などの有力議員を擁するグループの代表でもあるが、党内でも存在感を示せないでいる。そんな中でのこのような発言は、「総理を無視した発言、財務官僚主導による特別枠決定」と、霞ヶ関の関係者の間では見られている。
また、菅内閣きっての「放言男」と言われている櫻井充財務副大臣も、9日の記者会見で、「来年度の危機対応予備費」について記者から聞かれ、このように発言した。
今のところは1兆円。税収が固まっていなくて、それからあとは各予算がどういう格好になるか、大きいものがいっぱいありますから、そういったものを出してみた時に71兆の枠の中に入るか入らないかというところがあります。71兆の枠にどうしてもおさまり切らなければ、その部分を圧縮するなり何なりとという話が出てくるのかもしれません。もうちょっと申し上げれば、71兆の背丈まで歳入が追いつくかどうかという保証もありません。92兆になるのか93兆になるのかちょっと分かりません。その場合には、どうしたってそこを調整弁として使わざるを得ないということになるんだろうなと思っています。
この予備費は、自民党政権時代から『総理の財布』と言われ、一国の長が思い切った政策を断行する時のカード。『それを一副大臣にハンドリングされるとは、総理の貫目が問われる』と、官房関係者も嘆く。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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