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日銀は「景気変動の源泉は金融ショックか、生産性ショックか」の研究報告発表
菅首相は13日、やっと「法人税5%下げ」を決断し、関係閣僚に指示した。遅きに失した感があるが、経済界はおおむね「歓迎」の意向だ。しかし政権基盤が安定していない現在、いつ「見合い財源」を求められるかと疑心暗鬼のところもある。[写真拡大]
【「霞ヶ関発・兜町着」直行便】
菅首相は13日、やっと「法人税5%下げ」を決断し、関係閣僚に指示した。遅きに失した感があるが、経済界はおおむね「歓迎」の意向だ。しかし政権基盤が安定していない現在、いつ「見合い財源」を求められるかと疑心暗鬼のところもある。来年度予算の年内編成に向けて、税改正の一つは何とかクリアしたものの、菅首相には、まだ「子供手当て」「基礎年金の国庫負担分」「特別枠1.3兆円への絞込み」等の重要課題が残っている。
さらに小沢氏の「国会招致」や「仙谷官房長官辞任要求」も喉に刺さったトゲである。そのような中、今日から硫黄島に遺骨収集に行くという。国家として大切な仕事だと思うが、なぜ今なのかとの疑問が残る。17日からは沖縄訪問である。これも最重要の政治課題であるが、予算編成、政権基盤の確立が問われている最中でのこれらの日程は、「逃げている」との謗りを免れるものではない。
各省庁も菅内閣の予算編成の緩慢なそして頼りない動きに「諦め顔」。そんな中にあって、日銀だけは悠々と仕事をしているようである。勿論、「日銀法改正」をチラつかされて、金融緩和、資金投入を催促されてはいるが、守備範囲だけはしっかりこなそうとの姿勢が目立ち、14日も次のようなレポートを公表した。
12月、年末のこの忙しい時に、研究論文の発表とは、何という悠長なと思ったが、タイトルを見て取り上げることにした。それには「景気変動の源泉は金融ショックか、それとも生産性ショックか」とある。確かに従来の景気循環論では、景気変動を引き起こす主な要因は生産性ショックであると考えられてきた。
しかし、リーマンショックに代表される世界的な金融経済危機が信用バブルの生成・崩壊によって引き起こされたことを受けて、金融面の動きが実体経済に及ぼす影響に注目が集まっている。また、米国等の景気変動に関する最近の研究でも、金融面の動きが景気変動に与える影響の重要性が示唆されている。
そこで日銀はまず、「金融面の動きが実体経済に及ぼす影響を捉えることのできる金融アクセラレーター・メカニズムと、投資財セクターに特有の技術進歩である投資特殊技術進歩を導入した動学的確率的一般均衡モデルを構築し、次に、投資財の消費財に対する相対価格と金融機関貸出の変化率を含む日本と米国のデータを用いて、このモデルを推計して、金融ショックと生産性ショックのどちらが日本と米国の景気変動の主な要因であるのかを検証した」という。そして、導き出された主な結論は以下の3点であるという。
(1)日本と米国の景気変動を引き起こしている主な要因は、生産性ショックである。特に、全セクターに共通の技術進歩である中立技術進歩の影響が大きく、投資特殊技術進歩の寄与は限定的である。
(2)設備投資の変動についてみると、金融ショックは少なくとも生産性ショックと同程度の影響を及ぼしている。特に、企業が自己資金を越えた設備資金調達を行う際に要求される外部資金調達プレミアムに対するショックの寄与が大きい。
(3)日本の資産価格バブルや米国の住宅バブルにおいて、外部資金調達プレミアムの顕著な低下と、それに続く急上昇が観察されており、こうした変化が、設備投資の過熱とその後の停滞を引き起こした可能性が示唆される。
日銀は結論として「生産性ショックが景気変動を説明する上で最も重要な要因である一方、金融ショックが設備投資の過熱といったバブル期の動きを作り出している可能性が考えられる」と結んでいるが、魅力的なテーマ、仮説を華々しく掲げた割には、結末は歯切れの悪いものになっている。いま少し大胆に推論してほしかったものである。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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