【外国為替市場フューチャー】米国の長期金利の動向が注目点

2010年12月11日 20:06

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【来週の外国為替市場展望(12月13日~17日)】

■ドル買い加速の可能性も

  前週(12月6日~10日)の外国為替市場でドル・円相場は、週初は1ドル=82円台後半と、ややドル安・円高水準でスタートした。しかし7日と8日の米国債券市場で長期金利が急上昇し、これに伴ってドル買い・円売りの動きが強まった。円・ドル相場で円は1ドル=83円台半ば~84円台前半まで下落した。6日に米オバマ大統領が、大型減税(ブッシュ減税)をすべての所得層を対象に、2年間延長することで共和党と暫定合意したと発表したことを受けて、米国の財政赤字が拡大するとの懸念が広がった流れである。

  その後は概ね1ドル=83円台半ば~84円台前半のレンジで推移した。ドル安・円高トレンドの一服感は鮮明になっているが、一方的にドル高・円安方向に振れる展開でもない。週後半は膠着感を強めており、トレンドが転換したとは言えないだろう。また、欧州の財政不安問題の広がりに対する懸念も根強く、ユーロが弱含む展開も続いている。

  来週(12月13日~17日)の外国為替市場では、引き続き米国の長期金利の動向が注目点となる。ドル・円相場については、米国の長期金利と日米の金利差の動向、欧州の財政不安問題の広がりに対する懸念などを睨みながらの展開だが、米国の景気回復期待で長期金利が上昇し、日米の金利差拡大が意識されるというシナリオだろう。

  そうした状況の中で、特に14日の米FOMC(連邦公開市場委員会)が注目される。今回のFOMCで追加緩和策は実施されないとの見方が大勢だが、米FRB(連邦準備理事会)バーナンキ議長が国債買い入れ拡大を否定しないと発言した後だけに、今回はその声明内容が注目されているようだ。声明内容次第では、米国長期金利が動き、外国為替市場に影響を与える。市場の観測では、声明で金利上昇に懸念を示すとの見方が強いようだ。

  ただし、大型減税(ブッシュ減税)の2年間継続などで、米国株式市場では景気回復に対する期待が高まっている。世界のマネーが債券市場から株式市場や商品市場など、リスク資産にシフトしているとの観測も高まっており、債券売り(長期金利上昇)が加速する可能性もあるだろう。年末に向けてドル資金需要が高まり、ドル買いが優勢になるとの指摘もある。

  米国の長期金利低下を背景とする「ドル安」の構図が本格的に転換したとまでは言えないが、長期金利や日米金利差の動向に対する見方には変化が表れ始め、米国の景気回復期待で米国長期金利が上昇し、ドル買い・円売りの動きが強まるとの見方も増えている。

  日米の金利差が波乱要因となる可能性もあるだろう。足元では米国の長期金利上昇に対して、日本の長期金利も上昇傾向を強めているため、日米の金利差が拡大せず、一方的にドル買い・円売り方向に傾く可能性は低いだろう。しかし日米の金利差が拡大すれば、積極的なドル買いの流れが加速するだろう。

  米国の長期金利の動向を探る上でも、年末商戦の動向などが注目されるだろう。来週のスケジュールとしては、14日の米FOMCに加えて、14日発表予定の11月米小売売上高、16日発表予定の11月米住宅着工件数、17日発表予定の12月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数などで、景気回復期待が高まるかも注目点だろう。

  ユーロに関しては、一旦は落ち着きを取り戻した形となっている。ただし、円は対ユーロで109円~110円台での推移となり、高止まりの状況が続いている。欧州の財政不安問題が南欧諸国へ広がるのではないかという懸念に加えて、現行の緊急融資制度の枠に対するユーロ圏内の温度差を懸念する声も根強いだけに、来週も波乱要因となりそうだ。なお、中国が前週末10日に預金準備率を引き上げたが、ある程度は織り込み済みで影響は限定的だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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